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酒と本の日々
酒と本の日々:67
2017年03月18日
ラブラドールを飼いはじめて、楽し過ぎて仕事をしばし忘れる。
忘れ過ぎると、ラブとの生活に困窮するため、しばし仕事にいそしむ。
本を読むことと、酒を毎日飲むことだけは忘れない生活が続いている。

最近読んだ本の中に立原正秋が、酒はぬる燗がいいとし、
「私は風呂にはいるときによく酒びんを抱いてはいる。」が持論だったと書いてあった。
グラビア撮影でも、立原本人がそんな写真を撮らせたらしい。

以前いた出版社で「少々と言い一升飲む女」というありがたい名前をいただいていた。
かと言って今、一升酒を一人で飲む自信はないが、一回くらいやってみたい気がする。
そんなときにどんな銘柄がいいだろうと考えた。
最近買ったなかでことに燗映えしそうなものは、これかなと思う。
この一升を抱いて風呂に入るのが夢である。

今日の酒
朝日鷹 新酒 特撰本醸造 生貯蔵酒 高木酒造

2015年12月27日



師走である。
母が生きていた頃、この時期になると義務があった。
それは、母用の日記帖を買うことだ。父が死んで、母が一人になると家の用事をすべてやらなければならなくなった。つまり負担は二軒分。だから、以前は母への感謝の気持ちで贈っていた日記帖が義務になり、強迫観念になっていた。
「日記買わなければ」という思いに追い立てられていた。
それは、母用の灯油買わなければや、布団干さなければや、病院連れて行かなければと同じように義務になった。
そして、母の死後膨大な日記帖が残されることになった。
いまでもこの季節に書店の平台に並ぶ同型の日記帖を見るのが嫌でならない。

古書の世界にも日記収集というジャンルがある。それは、著名人から一般人まで収集家の好みによって幅広い世界だ。ただ、一般人の日記や手帳にたいする値段づけはとても難しい。ものによっては、郷土資料としての価値が評価されたりして、オークションで高値で取引されるものもあると聞く。

母の日記は、開くことさえできないままだ。なんだか開くと目がつぶれそうだから。母が死んでもなお親不孝な子どもである。

師走は新酒の季節でもある。古いものと新しいものが入れかわるそんな季節。

今日の酒
清水酒造㈱
亀甲花菱 
純米 中取り無濾過生原酒

いつもの蔵のいつもの酒だが毎年味は違う。
2015年05月03日



最近同業者からの注文が相次いでいる。売れて嬉しいのだが、ちょっと複雑な心境だ。
20代の頃にせどりで有名な福田久賀男さんと毎日のように会うチャンスがあった。今から思えばいろいろ聞いておけばよかったのだが、若くてしかも無知だからムダ話ばかりして過ごしてしまった。
福田さんは、いつもたくさんの本を抱えていて「これは○○書店で売れるな」とか、たまには戦利品を披露してくれたけど、本の名前もすっかり忘れている。
神田の書店の中には福田さんの顔を知っている人もいて、ちょっと煙たがられる店もあったようだ。当時は、売れるならいいじゃないかと思っていたが、やはり店のプライドというものだろうか。眼がきかないことを恥じたんだろうか。ハタキをかけらたと笑っていた。
福田さんは、面白い人でちょっとべらんめいな口調が江戸っ子ぽくて、憎まれ口ばかり言っていた。きっと素敵に歳を重ねられるのだろうと思っていたが、まもなく亡くなってしまった。福田さんとともに豊富な古書の知識もなくなってしまったんだと思うとよけいに淋しくなる。

せどりは、酒の世界にもある。
正規の値段で売っている酒販店から買って、プレミアムをつけて高値で売りさばく商売である。知り合いの酒販店の主から聞いたのだが、そういう人は雰囲気でわかるんだそうだ。「知ってるけど売ってやってるんだ」と言っていた。


今日の酒
天覧山 純米大辛口
五十嵐酒造

蔵まつりの利き酒大会で全問正解でもらったもの。やっぱり戦利品は格別の味。
2015年02月19日


今朝、犬を飼うまで一緒に働いていたバイトのお仲間から「犬飼って休んでるんだって?」とメールをいただく。懐かしくてとても嬉しかった。ノエルが来たのが去年のクリスマスだからまだ2ヵ月しかたっていないのに、渋谷の109とかすっかりご無沙汰ではるか昔のことのよう。忠犬ハチ公とか・・・。

そういえば、ずっと前に知り合いの韓国の留学生(今は韓国で教授)が、「忠犬イヌ公」とまじめに呼んでいたのを思い出した。韓国でも犬はもちろん愛玩動物であるわけだが、同時に食料でもある。保護団体のブログで韓国の保護活動家が、血統書つきの犬以外は食べられてしまうので何とか日本で雑種を救って欲しいと訴えていたが真偽はわからない。

うちはあまり売れない古本屋だが、なぜだかここ数日いろいろご注文をいただいている。ありがたいことなのだが、犬がいると発送に行けないのだ。初めてのときは要領がわからなくて連れて行って困ったりもした。恥ずかしながら、犬連れが入れる場所がこれほど少ないことを知らなかったのだ。

犬がいるとなんでもネット注文になる。これからはお酒もネットで買おうかなあ。

今日の酒
別嬪 べっぴん 純米
鯉川酒造
まさに別嬪な酒で燗に映える鯉川らしい造り。
2015年01月14日


『古今いかもの通』という本を見つけた。三省堂から昭和初期に出た通叢書の一冊である。

スポーツ通 支那料理通 映画通 新劇通 果物通 洋装通 鰻通 カフェー通 日本俗曲通 銀座通 天麩羅通 古書通 西洋音楽通 支那旅行通 ダンス通 西洋料理通 歌舞伎通 煙草通 をどり通 酒通 日本料理通 俳優通 

通叢書は、こんなに多彩である。『古書通』は、ぜひ読みたいし、『酒通』や『鰻通』も気になる。
『いかもの通』で面白かったのは、猿酒のことである。めったにお目にかかれない酒として、猿酒をあげている。筆者が中学生の頃、磐梯山の裏手の桧原の小部落で飲んだというが…。猿が、木の実やら何やらを自分で貯蔵して自然に熟成したもので、飲むと寿命が十年延びるそうだ。いかにもいかもの。

今日の酒
山猿 山廃純米吟醸 ひやおろし
永山酒造
猿酒ではないが、名前は山猿。まあ猿つながりで。文句なくおいしかった。穀良都が酒米というのもいい。
うちの看板犬は、酒好きでまだ6ヵ月の少女なのに蓋の閉まった一升瓶の口をペロペロ舐めまくる。そういえば猿と犬は、仲が悪った。
2015年01月01日


元旦である。
毎年、旅かスキーで冬は家になんかいなかったのに、昨年からこの時期体調不良。寒さに勝てぬ身体になってしまったのか。なんだかパッとしない。

同年代と会えば、もう歳だからと言い合うお年頃。高校時代の今でいうメル友(クラスメイトだが短い手紙を毎日交換していた)からメールで、「お互いミス・マープルの歳になったね」といわれて吃驚。彼女は、哲学とアガサ・クリスティの好きな少女だったのだが、映画やドラマに出てくるマープルはどう見ても70歳くらいじゃないのかなあ。解せないなあといいながら、マープルよろしく手編みでスヌードを編んでしまった。推理は、犬のしぐさを感知してトイレ誘導するくらい。

今日の酒
雁木 純米大吟醸 発泡にごり 生原酒
八百新酒造
昨年山口に行ったとき蔵で一本買わせてもらった。「山口でがんばってるのはDサイだけですよ」との自嘲的な蔵元の言葉を思い出す。場所として獺祭が至極近い。この酒だけに言えば、蔵元の言うDサイのほうがはるかに美味しい。良い蔵なのであえて違う路線を目指してほしかった。
2014年12月24日


念願だった犬の里親になれそうだ。
今トライアル4日目。足元でしきりと遊んでいる。しかし、午前2時である。「おしっこですよ」の要求吠え、起きてみると喜びすぎて場所を間違えてジャージャー、粗相あとを拭いていると体当たりのうえ拭いている布を噛んで大暴れというパピーならではのしょうもないというか仕方のないというかたまらない図式。ある程度覚悟はしていたが、現実になるとたいへんである。

10月に道満の里親会で会った黒の雌のラブラドールをワンダフルドッグスという団体からトライアルさせていただいている。会った当時まだ3ヵ月で5キロしかないかわいい仔犬だった。いまはほぼ倍にはなったが行動は子供のままである。

犬の好きな友人が入れ替わり見に来てくれ、連日人気者。夕方からお疲れで大いびきのヘソ天でグーグー寝ている。寝ている姿は天使そのものだが、起きると悪魔のようである。

東松山の富士屋酒店に21日、犬のお見合いの帰りに寄ると、看板犬シンちゃんが久しぶりにお出迎えしてくれた。癌になってしまったそうで、抗癌剤で治療中だそうだ。この犬も保護犬で保健所からの譲渡犬。「病院に1回行くと5万円かかるが、うっかりして財布にお金がないときがある」とご主人は笑っていた。

トライアル中で名前を付けていないのだが、もらえることになったらノエルとつけよう。今日はクリスマスである。ノエルは、保護当時お腹が虫だらけ皮膚は真菌であまり大きくなれない。クリスマスと名付けて幸せな犬生を送らせてあげたい。

今日の酒
純米吟醸 活性にごり酒 霙もよう
秋鹿酒蔵
我家では「霙もようの季節になったね」がこの時期の合言葉。活性度は例年より低めだったが、楽しめた。
2014年11月30日


11月は、ほとんど寝て過ごした。
三年寝太郎という昔話のように寝てばかりいた。スヤスヤ寝ての三年ならまだいいが、こちらは、喉の痛みに苦しみながらのひと月。

死ぬ前にやりたいことを考えながら寝ていた。「死ぬまでにしたい10のこと」という映画を見たことがある。死の宣告をされてから、やりたいリストを作り、やり遂げて死ぬ若い女性の話である。若くて余力のある人はできるだろうが、具合が悪くなってからでは、何もできずに死ぬだけだ。
まあせいぜい、正岡子規のように口述筆記くらいしかできないだろう。
いまだにゲホゲホとガラガラ声がとれない。友人にも風邪が長引いている人が多い。今年の傾向なんだろうか。
さて死ぬ前に何がしたいか、やり始めた百名山登頂が、八十山を越えたのでぜひやり遂げたいのと、犬を飼いたいということ。どちらも死直前にできることではないなあ。

三年寝太郎は、起きて民のため灌漑事業をする。実はかっこいい人なのだ。

今日の酒
達磨正宗 純米ひやおろし
合資会社白木恒助商店
古酒で有名な蔵だが、ひやおろしも絶品。風邪なので温燗で、病んだ体に沁みるなあ。
2014年10月26日


戸田の道満ドッグランで行われた犬の里親会に行く。
最近犬が無性に飼いたくなり、いろんな里親会に足を運んでいる。
発端は、近くのホームセンターで売られていたシベリアン・ハスキーの雌が、育ちすぎてケージ展示されていたことにある。彼女は、他の客には飛びついたり甘噛みしたりするのだが、わたしが行くときちんとお座りしてお腹を見せてくれていた。彼女会いたさに何度も足を運んでいるうち、情がわき今日こそ飼おうと思いながらホームセンターに行ってみると、今売れて裏で待機中といわれた。
それからハスキー恋しさにネット検索してみると、数年前ハスキーブームがあり、保健所がハスキーであふれていたと知り、遅まきながら愕然とした。現在老犬となったブームの名残のハスキーをお世話している保護活動家がいることも知り、ハスキーが人懐っこい犬種であることも知った。(誰にでも愛想が良かったんだろうね)
パピーミルの問題なども知ってはいたが、日本のペット産業の裏側がここまで酷いとは思わなかった。そこから飼うなら保護犬と思ってはみたものの、安易には譲渡しない保護団体の事情もだんだんわかってきて、あれこれやっているうちにもう半年くらい犬探し中。

森達也著『メメント』は、飼っていたラブラドールの死から話が始まる。子犬から飼ったラブを酒に酔って蹴ったりする著者。犬がグッと我慢している下りが泣けるのだが、ニュースで話題になった介助犬のラブも刃物で刺されて声一つあげなかったというがなんと忍耐強い犬種なのだろうか。著者はその後飼い犬に噛みつかれ我に還るのだが、こんなことを書いて愛護団体から苦情が来なかったのだろうか。

帰りに、戸田在住の先輩宅に顔を出すと、犬の糞始末グッズをプレゼントしてもらう。すぐに犬をもらえると思ってのご厚意だが、犬の親になるのも譲渡条件がありたいへんである。連れてくると思っていたらしく「近くにペットショップがあるから買って帰れば」と言われて苦笑する。
犬の代わりに駅前の上岡酒店で酒を買って帰った。

今日の酒
風の森 純米しぼり華雄町 無濾過生原酒
油長酒造
風の森はなんといってもアキツホが好きだが、今回はアキツホが売り切れということで、雄町をチョイス。速攻呑んでしまった。
2014年09月27日


紅葉の苗場山を堪能して車に戻り、カーラジオをつけると御嶽山のニュースが流れていた。
ちょうど池塘のある頂上で暢気に昼ご飯を食べていた頃の惨劇であったようで、想像すると身の毛がよだった。
御嶽山は数年前に登ったときにも噴煙が上がっていたから、予兆はあったのだ。
百名山を登り始めて15年ほどだが、当時浅間山は入山規制していて、黒斑山までしか行けなかった。御嶽山も規制していれば、ここまでの被害は防げたと思うと、警報の一つも出していなかった火山予知連に文句の一つも言いたくなる。
百名山をすべて登る目標があるが、やはり山を楽しみたいので、近郊の山は足慣らしも兼ねて何度も登ることになる。今日登った苗場もスキーを除けば2回目の登山だ。心配してメールをくれた友人もいたが、私の場合、惨劇に合う合わないは、ロシアンルーレットのようで偶然としか言いようがない。夜中目を閉じ、犠牲になった方の冥福をお祈りする。
しばらくは、山小屋もキャンセルが続くだろう。

今日の酒
超群 純米 
生熊酒造
連山の中でひときわそびえる富士山のように、酒造界に秀でることを願って名付けられたそうである。試飲でいただいた純米大吟醸は美味しかったのだが超高かったので純米を買ってみた。
2014年07月23日


槍ヶ岳に登ってきた。
この登山ブームの中、平日ゆえか人のあまりいないのは幸運であった。天気にも恵まれ、折から花の季節でもあり、楽しい山旅になった。当初日帰りの予定だったが、寝坊したので一泊になったが、テント場も空いていてひと気が少なく泊まりで正解だった。
軽く山小屋のビールを頂戴して、この季節に5度という下界の暑さを忘れる気温の中、ラーメンなんぞすすりながら満天の星を見た。

山を登るといつもそうなのだが、夏目漱石の『草枕』の冒頭が浮かんでくる。「山路を登りながら、こう考えた。 智ちに働けば角かどが立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。…」という誰でも知っている有名な文章である。しかし、考えてみれば冒頭ばかり知っていて内容はどんなだったか覚えていない。帰って再読してみると冒頭の部分を含め『草枕』のほとんどが芸術論で主人公は、山道を登り旅館に泊まり温泉に入るだけの小説であることがわかった。しかし、あの厚さである。
漱石が絵に造詣が深かったのは、昨年の漱石美術展で知ってはいたが、この主人公が画家であったことも今回読み返して合点がいった。
ちなみに『草枕』で主人公が登っている山は、熊本県の金峰山である。

今日の酒
純米 でこりん
桝田酒造店
富山の酒である。アルコール度数12という原酒を呑みなれた身には少々薄い感は否めないが、可愛いラベルに免じて許した。
2014年05月01日


古書のダンボールをひっくり返していたら『どん底 歌集』が出てきた。新宿三丁目にある居酒屋「どん底」が、酔客相手に売っていた歌集である。どうやら1960年代は、歌声酒場だったらしい。
私が行ったのは、1980年代だからすでに合唱したりはしなかったが、アングラっぽい雰囲気が好きだった。ルパシカを着た店員が似合う、想い出の酒場である。毎回、金子光晴が詩にした「ドンカク」というどん底オリジナルのカクテルと手作りピザを食べた。でも、金のない学生が飲みに行けたのだからずいぶん安かったのだろう。赤い字で「どん底」と書かれたコースターが洒落ていて、気に入って長いこと自宅で使っていた。タルコフスキーの映画を観たり、ニコライ学院に通ったり、ロシアがマイ・ブームの頃のお話。

歌集にもロシア民謡がやたらに多いのは、やはり時代性だろう。いまは、ウクライナの件もあり、なにかときな臭い国になってしまった。
どん底歌集は、ロシア民謡だけでなく歌いきれないほどの詞が掲載されている。その中にナジム・ヒクメット作詞「死んだ女の子」や窪川鶴次郎作詞「里子にやられたおけい」を見つけ、何気に大収穫。

どん底の常連に三島由紀夫や越路吹雪など芸能人や文化人が多かったことも、今回出てきた歌集で知った。しかし、店内が薄暗いので結局誰がいてもわからなかっただろう。

今日の酒
金戎 無濾過純米生原酒
西野金陵酒造 
新宿のデパ地下でゲット。香川のお酒が手軽に飲める東京のありがたさ。爽快な後味の美酒だった。
2014年04月14日


土日関係なしの長期アルバイトが終わり、やっとパソコンに向かっている。
「ここからは本業をがんばりなさい」とメールをもらうも久しぶりの休みにのんびりしてしまう。
昨日、仕事の昼休憩に古本屋で買った山田風太郎の『人間臨終図巻』をなんとなく読み出しはまってしまう。
本書は、十代二十代三十代…と、死んだ年齢で人の死に様を列挙している。十代の索引にアンネ・フランクと森蘭丸が並んでいたりするのだが、その内容は、死の様子を坦々と綴っているだけである。当然のことだが、偉業を成し遂げた人も、死には華々しさはない。
「麗子像」で有名な日本絵画の巨匠、岸田劉生は、38歳で腎臓病や尿毒症で眼が見えなくなり「マチスのバカヤロー」とさけんで吐血したのち死んでいるし、「荒城の月」を作曲した滝廉太郎も24歳で結核を理由に未発表の楽譜をも燃やされて死んでいる。

単なる死の羅列なのに読み飽きないのは、死自体が雄弁なものだからなのだろう。


今日の酒
神開 純米無ろ過生原酒 
藤本酒造
近江の蔵である。玉栄の香が好きなのでチョイス。
2014年04月03日


雨の中上野公園に花見に行って来た。
一時、バケツの水を開けたような久しぶりの大雨に足元を濡らしながら、それでもこれだけの人が集まっていることに驚き歩いた。
桜は、雨に打たれながらも見事に咲き誇っていた。東京の桜なので、雨で洗われかえって美しくなっているようだった。ほとんどの人は、歩いているのだが、音をたてるような雨の中をビニールシートを敷き、また被って酒盛りをしている若い男女もいて執念のような花見に笑った。
震災のときに一斉に消えた外国人が、桜の花のように一斉に雨の上野公園にいることにも驚いた。友人と不忍池を一周し、沢山いる鴨を見てぶらぶらして帰宅。

学生時代なら、雨の中でも花見しただろうか。などと遠い青春に想い馳せながら、自宅の庭の姫こぶしで花見酒。今年もヒヨドリに花びらを食われながらもよく咲いてくれた。

今日の酒
川中島 幻舞 特別純米 無濾過生原酒
㈱ 酒千蔵野
女性杜氏の蔵である。
2014年03月31日


深沢七郎の『流浪の手記』が売れた。
絶版文庫で、内容は「風流夢譚事件」後に身辺警護の刑事とともに旅をする実話だが、深沢七郎の存在がすでに面白いので、刑事と歩いていれば当然面白くないはずがない。手元に置きたい売るには惜しい本であった。
商品である本を愛しすぎてしまうのが、本好きが本屋をやる利点であり欠点である。

深沢七郎といえば『楢山節考』である。友人と昼下がり、サイゼリヤで安ワインをまったり傾けながら、話は介護問題になった。友人は、「楢山復活」を叫んだ。現代にこそ楢山が必要なのだと。友人も自分も子孫がいないことから将来に思いを馳せた結果である。
明日から消費税が上がる。福祉切捨てで税金ばかりぶんどる国を呪いながら思いは遠く楢山に向かっていった。

深沢七郎は、晩年「ラブミー牧場」を旧菖蒲町に開いた。まさかこんなに近くに住むことになろうとは…。といっても作家死亡の今は夢の跡といった風情である。しかし、深沢はこれからも評価されていく作家であることは間違いない。

今日の酒
五橋プレミアム
酒井酒造
仕事の帰りに寄った渋谷東急限定のお酒ということで買った。口当たりのよい、甘いワインのような酒。
2014年03月21日


春分の日である。
長野県佐久市の武重本家酒造㈱は、毎年春分の日に酒蔵を開放する。
ここの十二六にはまってもう何本飲んだことか…。今回も、どぶろく飲み放題につられて出かけてみる。
初めて行ったのだが、入場制限なし、入場料なしで、酒蔵の名入りグラスのお土産つきには驚いた。酒は当然飲み放題、野沢菜の漬物食べ放題である。
首都圏だったらできないだろう贅沢な酒蔵祭りを堪能した。

今日の酒
春花見 山廃原酒生酒
武重本家酒造㈱
2014年03月16日


千葉県神崎町が町を挙げた大規模な蔵開きをするというので行ってみる。
3年前に行くことを計画していたが、震災で断念。
やっと念願かなったわけだが、いざ行ってみると道に出店が並び、人だらけである。お目当ての寺田本家に着くころには、すでに人酔いしている有様。やっと着いた寺田本家の受付は既に長蛇の列。ここで試飲用のプラスチックカップをもらうシステム。そこはマイカップ持参組、ズカズカ入ってしまう。試飲は自由でどの酒も美味しかった。

その後、近所の「不動」で有名な鍋店㈱に回るもここもとてつもない行列。試飲もできないままレジの行列に並び1本買って帰るのがやっとだった。

今日の酒
醍醐のしずく
寺田本家
今回は、菩提もとで仕込んだこの酒をチョイス。グレープフルーツの酸味がたまらなくうまい。
2014年02月23日


今年も蔵開きの季節になった。
酒蔵の仕込が終わるこの時期は、新酒のお披露目もかねて、蔵で祭りを開催する酒造が多い。
今回、埼玉県小川町にある「帝松」で有名な松岡醸造の蔵祭りに出かけた。
地元の学生の太鼓演奏や餅つきなど華やかな催しの中でも、ねらいはきき酒大会である。
過去2回全問正解の栄誉を得ているので、今年も当る気満々で挑んだ。5種類の酒の銘柄を当てるのだが、思ったより難しいものである。飲んでいるうちに酔ってくるし、屋台のにおいも流れ込んでくるので鼻もきかなくなる。
でも、今年も勝利者の賜りものの大吟醸をなんとかゲットできた。埼玉新聞の取材を受けて、帝松を大いに宣伝しておいた。しかし、新聞に掲載されたのかは不明だ。

今日の酒
帝松 蔵元限定 大吟醸
松岡醸造
戦利品の大吟醸である。まずいはずがない。
2014年02月15日


商売をやっていると損はつき物である。少しずつ売上げを伸ばしてはいるが、伸びた分だけトラブルも増えてきた。
商品を送って入金がない。これは踏み倒しでかなり悪質である。これに対処するため、先払いと代引にしてみたが、今度は代引で注文したものの受取らずキャンセルする人が出てきた。
1000円程度の本を売っても、儲けは至極些少なのに送料と代引き手数料だけとられて本が売れないのでは、大赤字である。しかも郵便局が長期局留めで預かっている間に封筒の破損まであった。
注文主に「送料と代引手数料は郵便局にとられているので払っていただけませんか」と連絡するがなしの礫である。弱小古本屋をつぶそうという算段かな?
こういうことが続くと人間不信で酒量があがる。

今日の酒
古四王 純米吟醸5夏越え
出羽鶴
4年熟成酒なのだがスィートでフルーティな秋田のお酒。文句なく美味しかった。
2014年01月21日


終日渋谷。
通勤電車は、案外落ち着いて読書できる空間だ。
まあ混んでいなければなのだが…。
三浦しをん著『舟を編む』を読み始める。辞書編纂業に携わる人々の話。古本を山のように買ってはアパートの空室すべて書庫にしてしまう登場人物に感情移入しながら読んだ。自分も、岩淵悦太郎著『語源の楽しみ』が愛読書というへんな子供時代を過ごしたので、言葉に拘泥する気持ちはよくわかる。

本郷の「ペリカン書房」主、品川力さんは太宰治の小説のモデルになったり、雑誌『アンアン』でモデルをしたり、いろんな意味で有名な古本屋さんだった。20代の頃初めてお会いした時は、すでに白髪の老人だったが、古本を自転車の荷台にくくりつけ颯爽と神田や本郷を流していた。
或る日、偶然お会いしたときに「大手書店の誤植を葉書で教えているのにちっとも直さないし、お礼の一言もない。」と何の脈絡もなく愚痴られた。日頃は笑顔で口の重い品川さんのそんな場面に出合うことなどめったにないので驚いたが、品川さんの姿勢は、誤植を見つけたというレベルではなく、誤植と戦うといった気魄が感じられるものだった。
品川さんが、100歳という長寿で世を去られたいまも、本郷辺りを通るたび品川さんの自転車と出くわすような気がしてならない。存在感のなせる業だと思う。

小説は、ちょっと加水しすぎた日本酒といった感じ。原酒な作品を期待したため、ななめ読みで読了。帰宅する。

今日の酒
時代おくれ 酒一筋 山廃純米吟醸
利守酒造
酒米赤磐雄町で有名な岡山の酒造。岡山で蔵元とお会いしたことがある。頑固一徹な印象で、この蔵のブランド「酒一筋」を地でいっているようだった。
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